青田坊「若ぁあぁぁぁ!!!!
三代目襲名、おめでとうございぁあああああぁあッッッッ!!!!
こ、この青田坊、今日のこの日を若がお生まれになった日から……
お、おおぅおおぅおおぉお……嬉しいですぞ若あああぁぁぁッッ」
黒田坊「拙僧の方が嬉しいぞ青おおぉおぉぉぉ!!!!!」
青田坊「では飲むか!」
黒田坊「うむ飲もう!」

つらら「んもー、二人とも、若が居ないのにもう飲んじゃうの?仕方ないわねぇ。
あ、もう若って呼べなくなるのかぁ。三代目。総大将。……そっかあ。
でも、リクオ様はリクオ様よね。素敵な三代目におなりに違いないわ。
これからは守役ではなく、側近の一人として、今以上にはりきってお仕えしますとも!」
毛倡妓「あ、雪女、こんなトコにいたんだ。たった今総会が終わって、リクオ様が貴女のこと探してたわよ。紋付袴なんてもう嫌だから着替えたいんだって」
つらら「まあまあ、今日の晴れの日くらい、着ていらしたらいいのに、また木登りでもされるつもりかしら、あのやんちゃ坊主はもー…(ため息)」

……と、去っていく雪女を見送り、その場の一同、目を見合わせて。

黒田坊「はて、あいつがリクオ様の守役だったのは、いつ頃までだったかのう」
青田坊「そうさなぁ、八歳頃までは確かに守役だったかもしらんが」
毛倡妓「その後はずーっとあれよね」

「「「『ボク』の雪女」」」

黒田坊「……着替えに呼びつけられてのこのこ行くあたり、警戒心がまるでないが」
毛倡妓「守役ではなくとか言って、滅茶苦茶、守役気分……大丈夫かしら。大丈夫なわけないか」
青田坊「まァ、仕方ねえ、今宵はリクオ様と雪女抜きと考えて、二人の分まで飲みまくろうぜ!」


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なんて小話から始めてみました。こんにちわの方も、こんばんわの方も、ようこそいらっしゃいませ、百鬼夜航路管理人・木公です。
アレです。若が三代目になりました……!
原作では八歳から始まり、十二歳になり、反抗期を経て若頭となったので、いずれは三代目になるんだろうなあと思っていました。で、三代目におなりになったリクオ様の晴れ姿を、本誌で拝める時期にぬら孫にはまったのも何かの縁。極めて個人的に酒と菓子を買ってお祝いいたしました。
写真はその時飲んだお酒と、食った菓子と、奥には13巻買ったときについてたポストカード飾ってみました。

アホです。一人で楽しかったです。うわぁい。

飲んだお酒は、京都伏見区舞台町「招徳酒造」の「冬のさんぽ(清酒)」。
蓋されてる丸い入れ物の方が菓子です。蓋に書いてある文字、読めますかねー。
管理人在住の土地より御当地グルメ。「六花亭」より「六花のつゆ」ってゆー菓子です。
細かく言えば本店は別の町なんですが、まあそこはご勘弁。
有名になってきたらしい菓子屋なんで、あー、あそこかーと思われた方も多いのでは。

まあ、なにはともあれ「六花のつゆ」。
いかようにでも、深読みしてください。
えへ。……アホです。

酒の方は、若を意識して「鬼ころし」とか「かみなり三代」とか「魔王」wにしようかとも思ったんですが、言わばこの酒宴は「京都を制した若へのご褒美」であるのだから、んじゃー若が好むものじゃないと駄目よねと。若が好むものといやーそりゃーあなた即物的な思春期男子としてどうなのと。
というわけで、上記の品となりました。
あとは「プリン大福」買おうかなーと思ったんですけども、アレ一個食べたら自分、しばらく立ち上がれないんで(甘ッ……)、若……おっと、三代目には虎屋の羊羹で我慢していただきました。

「六花のつゆ」、なんてエロい名前なんだー…と見たときからずーっと思っていて、「はるうれうころ」で使ってみました。

んで、コレ、どーゆー菓子かといいますと。

中はこんなん。
一見すると、飴?って感じなんですが。いやいや。
砂糖の薄い膜で、お酒を包んだものなんです。外の膜より酒の量の方が多いんですよ。
アルコールの弱い方は多分「うえ」ってなるんじゃないかなー。
ていうか、なるって言ってました。そうか。残念だ。
……リクオ様は大好物なんじゃないでしょうか。

似たような色に見えますが、これ六色ちゃんとあって、似たような色は「赤紫」と「ピンク」、「白」と「クリーム色」というふうになってるんですね。
中身のお酒、それぞれ違いまして、「ワイン」「ブランデー」「うめ酒」「ペパーミント」「コアントロー」「ハスカップ酒」という具合に、それぞれの色に入ってます。
味は「金平糖食べながら酒を飲んだらこんな味」です。
この上なくおいしいお菓子!ではありませんが、一年に一度は食べたくなります。
素朴が一番。
千歳空港にお越しの際にはどうぞw 未成年の方は、お酒は成人してからです。
え?リクオさん?
アレは悪の大魔王ですよ!!!!


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管理人は基本的に、作家論と商業論と作品論は別に考えたいんで、WJ内でのぬら孫の人気がどうのとかあんまり気にしていないですし(掲載順が人気順なんですか?)、むしろこの作品を毎週掲載するのは無理があるしどうやら畑違いだから、SQに行った方が良いんじゃないか、そしたら毎週じゃないから俺だって本誌買って人気投票するぞとか、実は考えていないでもないそういうことはここまでにしておいて、三代目を背負う決意をなさったリクオ様の背景考察というか、そういうのを俺設定全開で語ってみます。作品論でスね。

二次創作だろうが物書きが語るなら作品でやれと常々自戒してはいるんですが。
酒の勢いでアホがなんか真面目な顔してポアっとやってらぁと思って許してやってくださいませ。
この先は多分、皆さんがちゃーんと考えついてることしか書いていないと思いますんで、考察とかに興味ないかたはここまでで、ブラウザを閉じて戻ってくださいね。
ここまで読んでくださって、ありがとうございましたー!




で、ぬら孫考察。ただし俺的。
このお話を最初に見たときに、「すげー暗喩を陽気にやってる」と感じました。

時代は平成の世。人ではないものの家に生まれながらして、「立派な人間になる」ことを選び、家を継ぐことを拒否するリクオさん。全てはここから始まりました。
よくある話ではありますよね。歌舞伎・能の世界でも、物心つく前から「お前は次の○○を継ぐんだ」と言われて、必死にお稽古するんだけど、途中で嫌になって反抗期に入る人。そのまま違う世界に行く人もあれば、また戻ってくる人もあり。リクオさんも全く同じ反抗期を辿ったわけであります。

ただ奴良家の場合、歌舞伎・能と違って、現代の世で認められているかというとそうではない。
妖怪なんだから当然でしょー。じゃなくて、それはきっちり暗喩とも取れるわけです。
昔から妖怪話・怪談は「触れておきたくないもの」を「気味が悪い」で片付ける作業から生まれました。今みたいに夜でも皓々と明かりがついているわけではない世の中で、全く同じ闇夜の中で同じことが起きるかをそう何度も実験できたわけもなし、一度だけ起こった出来事を、「ああ気味が悪い」ですませるために作り上げられたものでございますね。
で、世の中で「気味悪い」と避けられてきたものって、歴史を掘り返すと結構ありますでしょう。
伝染しない病なのに、見目が醜いし伝染されてはたまらんと遠ざけてきた歴史があり、生まれながらにしてハンディを背負った方々を目下に扱ってきたり、人とちょっと違う特徴や考え方を持っている誰かを『村八分』としてきたわけです、実際。戦時下では『非国民』なんて、お前そんな風情の無い言葉どっから引っ張り出してきやがったそれこそ日本語じゃねえぞと思われるような、かろうじて名詞?でレッテルを貼ったりをしてもいましたし。
妖怪・幽霊・怨霊の類というもののほとんどは、そういう括りで「自分たちとは違うもの」と線引きされた側の存在とも取れるわけです。
歌舞伎・能については、今でこそ認められていますが、昔は同じように差別されていた。
水商売、河原者、なんて言葉が残ってますしね。陰間とかね。

いわば、奴良家は「この平成の世ですら認められない、むしろ平成の世になって、人々が忘れようとしている『差別された側』」を率いてるわけなんです。
だから人間扱いされない。だからばれちゃいけない。
ばれたらそこにはいられなくなるんです。
実際には、今も残っている差別問題だってありますね。残念なことです。そして、そういうことです。
で、リクオさんの当初の目的は、「立派な人間」になることだった。これの主語は「自分が」です。自分が立派な人間になり、奴良家を継がずに、つまり家から出ることだった。人のためになる事を自ら探して請け負っておきながら、かなり自分勝手だったんですよ。だってこれを行うのは、あくまで自分が「立派な人間」と認められて、「人ではなし」と引かれた線を、自分だけが越えることだったわけですから。
だからパシリもやる、にこにこ笑う。カラス天狗がさらっと「また」って言ってましたけど、どんな「イジメ」があったやら。
でも、リクオさんも薄々感づいているんですよ、自分だけが線を越えて行くことが、「自分勝手」だということ。
そして、人の言う「正義」というものが、絶対的な観念ではなく、そこから弾き出されて「悪」と定義されたものの中にも、端へ端へ追いやられて消えていく小さく哀れなものがあるということ。
葛藤。悩み。人でもあり、妖でもあるから、どちらの言い分もわかる。
どちらがより正しいとは、リクオさん自身には決められません。正しさを決める線引きは、結局「自分たち」を悪である、人ではないものである、差別されるべきものであると定めた存在がやってきたことですし、一個人がそれを定めたとしても、何の役にもたたないことであるとご存知なわけでございますよ。
だから、真っ二つになったわけです。「人」を選ぶのか。「妖」を選ぶのか。

管理人が考える奴良リクオさんとゆー人は、やっぱり「昼=夜」です。ご利用は計画的にの昼か、考えるな感じろの夜か、の違いはあれども、やっぱり同一人物なのです。でも、どちらを選ぶこともできない元服前の状態では、両方の考えをうまく折衷できなくて、「それぞれがそれぞれの正しさ」を追求するだけでした。人の正しさと、妖の正しさと。
それが、それぞれの姿に宿る心でくっきり線引きされて、しばらくその状態が続いたのではなかろうかと、愚考する次第なんです。
二重人格。うーん、人格が生まれるなら二人って事はない。もっと複数いるはずだし。
魂が二つ?一つの体に?実は生まれる前は双子だった!ってこともあるかもですが、うーん、それは正直原作の展開による(笑)
今のところで考えられるのは、上記の「線引きによる心の迷い・葛藤」の姿だと思われます。
※ちなみに二人設定の二次創作は見るのも書くのも大好きです。無節操。

だからこそ、昼と夜が溶け合った姿が初めて現れたのは、その迷い・葛藤が晴れて、両方の心が「それぞれの正しさ」ではなく「己の道」の求道に目覚めた、八十八鬼夜行との戦いのときだったのではないか、と。
引き金は牛鬼でしたね。
いつかの扉絵で、リクオさんが牛鬼の背にしがみついて庭で皆と遊んでる絵がありましたが、あれがすごくキタ。ああ、家族なんだなあ、と思った。その家族に、ああまで詰め寄られて、答えを出せ、と言われた。「己等を捨てて人間であることにこだわるのか」「それとも、先代までがそうしていたように、率いてくれるのか」。率いないと答えれば、いや、一想いにやっちまうつもりだったんでしょうねえ。ばれたくない一心で他人の顔色を伺って、ヘコヘコする人生なんてろくなことないですよ。絶対いずれはばれます。そのときにどんな目に合うか。それに、逆恨みした妖怪が、奴良家を捨てたリクオさんにどんな仕打ちをするかもわからない。ならいっそ……と、そこまでの覚悟をさせてしまった。
それに対しての反省、たくさんしたんだろうなと思います。ハイ。「もう目を閉じてはいられない」、この言葉を、牛鬼が言うことを鵜呑みにして「人を捨てた姿」ではなく「陽光の下、人の姿で」言ったことにこそ意味がある。これがリクオの答えなんですよ。人であったとしても、「周囲が言う立派な人間」になるのではない、「立派な人間とは何か」「悪の総大将になると決めながら、人であること」の道を、模索し始めたのかなと。

そして今回。
三代目襲名にあたって、「人に仇なす妖怪は許さない」ことを、「妖の姿」で言ったのは、これの対とも取れるな、と。
思うわけです。

三代目を背負う。これは重い。
奴良家の主を、妖怪たちが敬うのは、自分たちを守ってくれるからなわけですし、それを守って背負うと決めたものを、やっぱり重いからやめた、とはいきませんからね。世の人は相変わらず妖怪なんていないと、古い時代に蓋をした臭いもののことなんて忘れているわけですから、大変です。
でも、今のリクオさんなら、きっちりやっていけるんじゃないかと。
陽の光の下でも、月の光の下でも、それぞれの付き合いをちゃーんとこなしていけるんじゃないか、と、思いたい。


で。こっからはリクつら的にですが。
リクオさんがどんな姿でも、叱ったり甘えさせたり冗談言ったりできるつららさんが、今後も傍にいてくれることを切に願います。
二代目が「こいつに妖怪任侠のことはしばらく教えない」と言ったにも関わらず、自分勝手に線を越えて行かなかったのは、「こちら側」につららさんが居てくれたからだと思いたい。つららさんを泣かしたくないんだと思いたい。13巻でぽろぽろ泣いてるつららさん見たらもう俺、胸きゅんだった。
「私ではもうお守りできない」、この言葉は「強くなってしまった主」だけでなく、「遠くへ行ってしまう主」に対してもきっと同様に呟かれただろう言葉だと思うわけです。牛鬼のように詰め寄らず、つららさんはきっと、リクオがどちらの道を選んでも、それを受け入れる。雪女は「裏切られることに慣れている」生き物でありながら、「裏切ることは決してできない」生き物だから。
そうならなくてよかった。やっぱ良い奴だ、リクオ。
リクオさんは線引きを自分だけで越えるんじゃなく、人も妖も、線を行き来するための橋になるしかないと思う。
そしてつららさんと二人で越えるしかないと思う。
もうむしろ結婚しろ。


……と、考察もへったくれもなくなってきた具合に酔いがまわってきたあたりで、終了したいと思います。
ここまで読んでくださって、ありがとうございましたー!

+++


「失礼します。……リクオ様、もうお着替えですか?せっかくの機会ですから、皆にその晴れ姿、もっとお見せしてくださればいいのに」
「こんなモン、かたっくるしくて仕方ねーや。さっさと着替え、出してくれ」
「はいはい。もう寝巻きになさいますか?それとも……って、ひゃあっ!」
「しーッ……大声出すなよ、人が来る。見えねえようにするけどさ」
「ちょ、ちょ、リクオ様、も、も、も、もしかして夜伽……ですか……ッ?!……そ、そういうことならこの氷麗、誠心誠意こめてお仕えしたいとは思いますがいきなりすぎですうぅぅぅ、あイタッ!」
「アホ。思考が飛びすぎた。……悪い、ちょっと甘えたい。しばらくこのままでいさせろよ」
「え?あ、なんだ、そういうことですか。ハァびっくりした、突然抱きついてこられるから何かと。でも、ふふ、そういうことなら、まあ今日くらいは仕方ありませんねえ。京都でがんばったご褒美です。……でも、人聞きが悪いことですから、今日だけですよ?」
「…………」
「捨てられた仔犬のような目をなさらないでください。わ、わかりました、もう少し譲歩しましょう。そこは話し合いで。ね?」
「うん」
「まったく、三代目ともあろう御方が、まだまだ可愛らしいですねえ」
「可愛らしいついでに今日は添い寝しろよ」
「馬鹿をおっしゃい。もうそんな御歳ではないでしょう」
「…………」
「その手にはもう、乗りませんよ!乗りませんったら!」
「……じゃあ、寝るまで居ろよ」
「ううぅ……仕方ありません。寝るまでですからね」
「うん」

 三代目が小さな若様だった頃にしていたように、寝かしつけようと物語などをしていた雪女、総会の準備等で働きづめだったこともあり、ついうとうとがぐっすりとなり、主の隣で夜を明かしてしまったとさ。
 もちろん、二人が「何もない」と言ったとしても、それをそのまま受け取る者はいないだろうし、むしろ立派に三代目におなりになった男君ならばそういうこともあるだろうと、これまで若頭が雪女にべったりしていたのを苦々しく思っていた幹部どもも、「今後もしっかり励めよ」などと冷やかすばかり。

「ほんとに、ほんとに、何も無いんですったらぁ〜!」

 朝帰りの幹部達の背に絶叫する雪女の声を、賄い所で朝飯を食んでいた若君 ――― 昼姿の三代目は、にこにこと実に機嫌良さそうに聞いていた。
 こうなることを、ご存知であったかのような、晴れ晴れとしたお顔である。

「リクオ、ご機嫌ねぇ」
「うん。昨日氷麗に添い寝してもらったせいか、夢見がよかったんだー」
「そう、よかったわね。……そろそろ結納くらい済ませたほうがいいのかしら」
「おじいちゃんと相談してみるー」

 雪女の添い寝、ご利用は計画的に。




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