それはまだ、リクオが元服する前、母を失ったばかりの頃の話。

 いくら陰陽師としては一人前と認められ、螺旋の封印を一つ預かっている身とは言え、いくら明王変化ができるとは言え、年としては十にも満たない、まだまだ子供。
 頼ってくる小物妖怪たちを手懐けて屋敷に住まわせているのは、懐深く情け深いのは、誰より一人を寂しがる心の裏返しに他ならない。
 だからこそこの頃、兄たちが毎日のように様子を見に来ては、夕食をともにしたり勉強を見てやったりと、できるだけ側にいてやることにしていた。
 最初こそ、小物とは言え妖怪であるからには、悪事をはたらいているのではないか、弟に悪さをしようとしているのではないかと、屋敷の妖怪たちにも目を光らせていた花開院の兄たちは、屋敷にお邪魔するたびに、座布団を出してきたりお茶を淹れたり、かいがいしく弟や自分たちの世話をしている小物たちに次第に考えを改めた。
 妖怪は黒、人は白、これは花開院の教えであるので簡単に改められはしない。それでも、自分たちがそれに縛られて、新たな可能性を潰すこともなかろうと話し合い、明王や如来の周囲に侍って力になろうとするのなら、これ等は妖ではなく護法なのだろうという事にした。

 その護法たちに、「大将は今日は裏山で、迷い犬と遊んでおいでです」と招かれて、伏目山に踏み入った竜二は、湧水が高くから岩を伝い流れ落ちてくる源泉の側で、弟がきゃっきゃと笑いながら相手にじゃれているのを見かけ、元々数本の皺が寄っている眉間に、もう一本加えた。

「おいリクオ、なんだ、そいつは」
「あ、竜二兄、いらっしゃい。シロ、あれが竜二兄だよ。ボクのお兄ちゃん。怖い顔してるけど、お兄ちゃんたちの中で一番優しいんだよ」

 当初、白拍子のような格好の美しい女性が、薄衣を掲げ持ってくすくすと、弟と笑いながら追いかけっこをしていたように見えたが、一度弟に視線を移し、もう一度その女性を見てみると、それはただの白い犬に姿を変えていた。
 ただの犬。子供と並ぶと、犬が座っていても同じ背丈ぐらいに見える、やけに大きいが犬である。
 いや、薄ぼんやりと、白い毛並みに薄紅色の隈取りと、背負う何かが、見えるような、見えないような。

「………犬?」
「うん。シロって名前つけてあげたの。真っ白で、真綿みたいで、太陽の匂いがしてふかふかするんだよ。あと、桜餅が大好きなの。ちょっと変わったお化粧してるけど、気にしないで」
「それは新しい護法か」
「ううん、ただの友達。たまに遊びに来て、ごはん食べて、帰っていくの」
「野良犬じゃないのか」
「どうなんだろう。ねぇシロ、お前、いつもどこに帰ってるの?」

 弟の問いに、お行儀よくお座りをしたシロは首をかしげ、ちょっと首を傾げて元気よく、わんと一声吠えた。

「この近くだって」
「わかんのかよ!」
「そう言ってたらいいなと思って」
「わかってねぇのかよ!」

 母が死んでからこちら、どこか沈んでいたリクオがきゃっきゃと笑うのは久しぶりだった。
 シロは不思議な犬で、リクオが首ったまにしがみついても嫌がらず、宥めるように顔をぺろぺろと舐めていた。

 奇妙な奴だがまあいい、とりあえず害は無さそうなので放っておこう。
 竜二はそう決め、いつも護法たちがいつの間にか増えていたとしてもリクオの裁量に任せているのと同じく、祖父や兄弟たちに報せることもしなかった。

 見れば見るほどただの白い犬のようである。
 最初に見た、薄衣を被った女性というのも、ただの見間違いだったかもしれない。
 ぼんやり見えていた赤い隈取りや背負っていた何かも、疑いの目を向けているうちに消えてなくなってしまった。
 なんだ、やはりただの犬か。
 そう思えば思うほど、ただの犬どころか、人懐っこそうにポアっと口をあけているところなど、見ているだけで失笑を誘う間抜け面である。
 さすがの竜二も三度目に会ったときにはすっかり気を許していて、尾を振って近寄ってきたシロの頭をついなでなでとしていたほどだ。
 撫でてから、「俺のキャラじゃねえ!」と愕然とする。
 竜二も多感な時期であった。

 ところがある日、ゆらと連れだって伏目を訪れたときのこと。
 ゆらはシロを初めて見る様子だったが、一目見てぱちくりと、いつも眠たそうに半分閉じている目を開いたのだ。
 ポアっとした者同士、一瞬で息投合したか。
 そう思っていると、ゆらはシロを指さして、

「お兄ちゃん、あのわんこ、なんでお化粧してはるん?」

 などと言う。

「化粧?」
「うん。真っ赤な隈取り、顔にも体にもしてはるやん。あるくそばから、ほら、花も咲いとうよ。あのわんこ、どこのわんこやろう。どこの神社の狛犬さまでも、あんな通力持ってへんもんなあ、それにあの背負った武具、うちの蔵の宝もののどれより強そうやね」

 そう言えば、リクオも最初に化粧がどうのと言っていなかったか。
 変なことを言っていると思ってスルーしていたが、どういうことだろう。

 竜二が考え込んでいるうちに、リクオがゆらの手を引いて、二人と一匹はボール遊びに興じ始めてしまった。
 ただの犬だとばかり思っていたが、注意して見ていると不思議なことに気づく。

 弟と妹が遊んでいるのは、足場が不安定な岩場である。
 陰陽師たちが修行の息抜きとは言え、ただ遊んでるわけにはいかない。
 ボール遊びをすると言っても、身体能力を鍛えるためにそういった場所をわざわざ選んでいるのだ。
 湧水に濡れ、苔がむし、一歩間違えば転んで怪我をする場所である。
 弟も妹も、怪我には慣れっこだから転んでもぶつけてもけろっとしているが、不思議なことにこの白い犬がいるときは、転ぶことも怪我をすることも無いようだった。
 妹が転びそうになったところで、砕けていたはずの岩がちゃんとそこにあって踏みとどまったり、弟が後ろによろけて転びそうになったところで、背後から風が吹いて事なきを得たり、それだけならただの偶然か、白犬だけに幸運を味方につける部類の犬妖なのかもしれないと判じたろうが、しかし、泉に落っこちそうになった妹へ、側の木からするすると蔦がのびてその体を絡めとり、すとんと安全な岩の上へおろしたのを見てしまっては、もう見て見ぬふりはできない。
 弟も妹も、不思議な力にこの白犬を疑うだろう、とっつかまえて判じるか……と、腰掛けていた岩場から竜二はやおら立ち上がったが。

「わー、本当や、シロちゃん、すごいなぁ」
「でしょ。シロといると、お日様もいつもより長く空にあるから、長く遊べるんだよ」
「最高や!シロちゃんてば、かしこみかしこみ最高すぎるわぁ!めちゃ好きや!」

 弟と妹は無反応だ。いや喜んでいる。
 竜二は少しばかり混乱した。ただの白い犬が、小物妖怪にすら「あいつはただの間抜け面した犬コロですよ」と言われるほど、妖力など微塵も感じさせないわんこが、こんな通力を見せるなんてどういうからくりだ。

「ツッコミ不在か!おかしいだろ!今の絶対おかしいだろ!てか、そうだよ、この季節日の入りなんてすぐのはずなのに、なんでまだ明るいんだよ!」
「まあまあ」
「なにがまあまあだ、まあまあとかなあなあとか、俺は大っ嫌いだ!」
「………竜二兄、誰と話してるの?」
「………お兄ちゃん、どうしたん?」
「………え」

 聞こえた。たしかに今、「まあまあ」と、宥める声が。

 しかし弟も妹も、首を傾げて遠くからこちらを見ているだけである。
 竜二のそばには、いつの間にかシロが寄ってきていて、へっはへっはと嬉しそうに舌を出していた。
 目が合うと、あふんと欠伸までされた。
 まあまあ、と、もう一度言われた気がした。

 竜二が黙ると、シロはトコトコ歩いて二人の元へ戻り、二人と一匹はまたも遊びに興じた。
 やけに昼間が長かったので、弟と妹は満足するまで充分遊べたようだが、竜二はその間、岩の上でかたまっていたので、帰る頃には体がぎしぎし言っていた。
 後で聞いたところによると、皆もこの日は「やけに一日が長いと感じた」そうだ。

 この次第を、竜二はその夜すぐに祖父に話した。
 話さなければ寝付けなさそうだった。
 何だあれは。どういう妖だ。
 何を企み、どういう悪行をなそうとしている。
 よもや弟に取り入ろうとしているのでは、なかろうか。

 祖父は、花開院の当主と言うよりも、竜二の祖父としての顔で、才があると期待され努力も惜しまぬ孫が、混乱しながら信じられぬものをあれこれ説明し、理解しようとしてできぬまま何かをおそれているのを、例の言葉を借りて、宥めた。

「まあまあ、竜二。まあまあ。……そのわんこは、そう言ったのだろう?」
「……言った、かどうかなんてわからない。聞き間違いだったかもしれない」
「聞いたと思えばそうなのだろう、聞き間違いだと思ったならそうなのだろう。竜二、すべてはお前の心のままじゃよ。お前は若くして才あると認められ、それで苦労も重ねてきたからのう、心が少しかたくなっているのではないかね。その犬のことなら警戒せんでもいい、ゆらがそう言うのなら、悪いものではないよ」

 そう、ゆらは最後までシロと離れがたい様子で、また遊んでなと何度も振り返って手を振っていた。

 妹の方が才あることを、竜二は認めている。
 そこに悔しさが無いわけではないが、生まれ持ったものを取り替えることはできない事実も、知っている。
 子供のようにごねたり、拗ねたりできる身分ではないのも、承知している。
 だからこそ、子供らしからず心が凝り固まってしまったのかもしれない。
 帰りがてらゆら本人に「あれはどういう妖だったんだ」と訊いて、「何言ってんのやお兄ちゃん、あれはわんこや。おおかみさんや」と答えられたのを、そのまま信じられず、今に至る。
 あれが、ただの犬なはずがあるか。

「おおかみさんだと、ゆらは言ったのだろう」
「………ああ」
「近くに住んでいると、リクオは言ったのだろう」
「………ああ」
「そうじゃのう、風に乗れば、お伊勢からここまでは、わりと近いのかもしれんのう、おおかみさんならば」

 言い換えられて初めて、竜二は気づいた。

 リクオのような信仰心も無ければ、ゆらのような素直な直感力も無く、認められぬものをじろじろと見るばかりであった彼に、「まあまあ」と声がかかった理由も。

「竜二、お前は長兄だが、ワシにしてみればお前もまだ子供じゃ。何かをはっきりさせるのもいいが、ときには、おとぎ話の世界で、休んでくるといい」

 そんな優しい世界に、己はなじめぬと知っているだろうに、祖父はそんな事を言う。
 それに、俺にはそんなもの必要ないと突っぱねてみようとしても、あの声が妙に耳について離れないのでできずにいる。

 まあまあ。
 思い出すたびに、その声は、ゆらを産んだと同時に息を引き取った母のものにひどく似てくる。
 もう一度、聞かせてくれないものだろうかと思えば、竜二もやはり眉間に皺を寄せながら、ゆらとリクオが遊ぶ岩場で、シロを眺めてしまうのだった。もっとも、その後はただの一度として、弟や妹がいないところでこっそり頭を撫でながら頼んでみても、シロは声を聞かせてくれなかったのだが。

 その後もしばらく、シロは頻繁に伏目にやってきていたが、リクオが母の喪失から立ち直るにつれ、今まで週に五度来ていたところが三度になり、二度になり、月に二、三度になり、やがてリクオが十三の年になった頃、全く姿を現さなくなった。

 シロがもたらしたのは、おとぎ話のように優しい時間、子供等に必要な、わずかな猶予だったに違いない。
 あの犬が訪れる日は、妙に太陽がぽかぽかとしていて、長く遊んでいられた気がする。
 この時間をたっぷり使って、母の喪失後よく一人で泣いていたリクオはまた笑うようになった。
 ゆらは周囲に、少ししっかりした、と言われるようになった。竜二からしてみれば、まだまだ頼りない妹だし、シロのポアっとした顔に見慣れてしまったせいで、少しばかり妹がしっかりして見えるようになったようにも思えたが、他人が言うのならそうなのだろう。
 竜二自身もまた、人からすれば少し大人びた、らしい。
 彼自身としては、これまで通り他の者の失敗やちょっとした手抜きなどを厳しく言及しようと思ったところで、あの「まあまあ」の声をつい思い出してしまい、「次からは気をつけろよ」としか言えなくなってしまっただけなのだが、この匙加減というものこそ、もしかしたら彼に必要なものだったのかもしれない。

 ポアっとした顔をした犬を、疑うばかりで礼の一つも言っていなかった。
 次に会うときがあったなら、桜餅の一つでも奢ってやろうかと思いつつ時は過ぎ行きた。
 きっとあの犬は、もう姿を現さないつもりなのだ。

 最後にあの犬を見た日、竜二とゆらが帰るのを見送ったあの犬が、朗々と歌うような遠吠えをしたのが、きっと別れの挨拶だったのだ。










 と、ばかり思っていたので、拍子抜けした。

 伏目屋敷の護法たちが、誰が大将について奴良屋敷へ赴くかでもめていて、なかなか供が決まらないとリクオが言うので、竜二が伏目を訪ねてみると、小物大物が雁首をそろえて輪になった座敷の中、シロがちょこんとお座りしているではないか。

「居るのかよ!」

 当然のツッコミだったはずだが、伏目屋敷の護法たちは、今更犬コロの一匹が増えたとしても特に気にはしない。
 それどころか、竜二にくっついてやってきたゆらも、

「わぁー、シロちゃんや、久しぶりやー!あれ、ちょっと毛並み綺麗になったんちゃう?よそゆき着たん?」

 などと嬉しそうに笑ってすぐ飛びつき、べろべろと顔を涎だらけにされて笑っている。

「おや、竜二さん、いらっしゃい。今、お茶をお持ちしますね」
「おいこら茶釜狸、なんだアレは。なんで今ここに居る」
「そうなんですよ、久しぶりにふらっとやってきてキョロキョロしてるから、誰が大将について行くか相談しているから今はお前に構えないよって言ってやりましたらね、ああやって輪に混ざってしまったんですよ。まるで自分も行くって言うみたいに」
「いや。まずいだろ。それ。流石に」
「ですよねぇー、あんな間抜けな顔した犬コロをお供にするわけには、参りませんよねぇー」
「そーじゃなくてだな、そんな簡単にお前、主神がエコヒイキしていいのかよ!そりゃ頼りになるかもしれねぇけどダメだろ!つか向かう先は関東奴良組の本拠地だろ、あっちの妖怪ども、ラスボス来たと思って腰抜かすぞ!」
「エコヒイキ?頼りになる?何のことです、竜二さん?」
「こいつはこの通り、ただのポアっとした間抜けな犬コロですよ。ほらお手」
「わん」
「すんな!させんな!行儀いいとこ見せたってダメだ、供なんぞ許さん!」

 昔は見えなかった紅い隈取、背負う鏡の神器、首にかけた勾玉を、今の竜二はしっかり目にしている。
 自分がかつてそうだったように、信仰心の無い者や、あまり力の無い人や妖怪には、ただの白い犬にしか見えないらしい。
 集った小物どもはやはり「わんこ、煎餅食うか」などと構ってやっている。
 それはいいとしても、妹は小さな頃からこんな風に尊い様子の主神を見ていたのだろうに、だからこそか、まるで臆さずに、ただの大きなわんこにするように、大きな背にしなだれかかったり首に抱きついたりしているのだ。

「わんこ、お前、こんな風にあちこちふらふらしてないで、素敵な嫁さんでもちゃんと見つけたのか?」

 と、煎餅をやった山鳩が言ったので、そこは竜二、己の役目として突っ込んでおいた。

「いや、それ、メスだから」
「「「「「え?」」」」」

 一同、硬直。
 ゆらがわんこを万歳させて、べろーんとお腹を出してみると、確かに。

「ほいシロちゃん、ばんざーい。ほんまや、シロちゃん、女の子やったん」
「知らなかったのかよ!つかお前もされるがままになってんな!少しは抵抗しろ!」
「ついでにお腹なでたろ」
「撫でるな!ひっくり返すな!」
「ほーらシロちゃん、かしこみかしこみ、もふもふもふもふー♪」
「やめろ、ゆら、それから離れろ!無礼たマネしたら怒られるぞ!」
「かしこみかしこみしとぅもん。シロちゃん優しいから甘えても怒れへんよ」
「お前はかしこみかしこみの意味をわかってねぇ!!」
「まあまあ」
「だから俺はまあまあとかなあなあとかは大嫌いだってのに!」
「 ――― あの、竜二さん?」
「 ――― なんですか、誰に言ってるんです?」

 畏れ多いはずのものを前に、まるで畏まらない様子の護法ども。
 神々しさを知っているはずなのに、今も無邪気にシロの肉球をふにふにしながら頬ずりしている妹。
 されるがまま、仰向けのポーズのまま、お腹を撫でられているシロ。ならぬ、伊勢のおおかみ。

 賑やかな座敷の中で、万歳をしたままのそのおおかみさんが、へっはへっはと笑っている。

 頼んでも頼んでも、聞かせてくれなかったくせに。
 カッと頬に熱が上った。

「今、言うのかよ!」









...時には御伽噺のように...
その後、わんこは鞄の中に入ろうと通力を駆使して色々がんばったのだが、竜二に見つかり諦めたのだという。

「おいこらシロ!ダメだっつったろーがよ!お前が行ったら喧嘩になるから!絶対なるから!相手は魑魅魍魎の主だから!」
「ウウウゥゥゥ、ガルルルルルッ」
「勇ましい声あげんな!戦う気満々じゃねえかお前!あのな、それでもリクオの実の父親だから!」
「ぁふ」
「一発殴らんと気が済まないってなんだそれ!事情わかってやれって!」
「ぁふん」
「後妻打ちは古来からのならい?いやそれを言うなら山吹乙女が前妻つーか。いやでも死んだってわかる前は若菜さんの方が正式な妻か?」
「ウォン!」
「一年以内に山吹乙女といちゃついてたら自分が代わりに一発殴る?!尻尾を曰くありげに素早く真横に揺らすな!なんの訓練だ!」
「ウォン!オンオン!」
「だいたい、後妻打ちってのは女同士のモンだ!旦那を殴りに行くもんじゃねぇええ!!」

「 ――― 雅次、竜二はなにをやってるんだ?」
「わんこ萌えってやつだろ。竜二も丸くなったよなぁ、うんうん」
「ええなぁ、竜二兄ちゃん、シロちゃんとおしゃべりできはるのん。うちもシロちゃんの言葉、聞こえたらええのに」
「どうしてあんな信仰心皆無ぽい奴が、主神の声を聞けるんだ。解せない」
「言霊使いだからやろ。あとマザコン。さすが竜二、現代版言霊できっちり主神をなだめとるな」
「あんな言霊があってたまるか」