奴良組三代目駆け落ち騒動などと、後々まで揶揄され語り継がれるこの顛末は、これであらかた片づいたかのように思われた。
 元サヤというのか、おさまるべきところを女が思い出した。あとは周囲の誰が何を言おうが、本人同士が意志を貫けばそれで仕舞だろう。

 三代目ご本人にしても、逃げ出した雪兎が懐に戻ってくるならそれでよいと思われていた。  沫縁湖の若旦那には義兄弟がうまく取りなしてくれるだろうと一件を任せた後、逃げた女への仕置きを済ませた三代目が、腕の中で眠ってしまった雪女に己の羽織を使わせ、ともかく今夜はこの料亭に世話になろうか、幸い部屋も空いているようだしとのんびりお考えになった頃、

「リクオ、沫縁湖の若旦那とここの大女将にナシつけて来た。この部屋と続きの間を好きに使えとよ」

 気を使ってだろう、襖の向こうから、その義兄弟がこう声をかけてきた。

「おう。悪いな、すっかり任せちまった。ちぃと待っててくれ」

 言葉に従い、雪女を抱いて続いた隣の部屋への襖を開けてみると、そこにはいつの間にやら二組の布団がぴったりと寄り添い逢うように整えられていた。
 最初から用意されていたものなのか、それとも……と考えそうになって、三代目はおやめになった。どうせ朝になれば少しばかりやり過ぎた己に嘆息をつきたくなるに違いないのだ、今はもう少し、舌の上に残る甘露の味わいにだけ想いを馳せていても良いではないかと、思われたのだ。
 目を覚ます様子もなく眠る雪女を、布団の中に寝かせてやってから、三代目は元の間に戻り、廊下に出た。
 義兄弟であるからとて、部屋に招きはしない。
 帯だの足袋だの、獲物を喰い散らかした残骸とは言え見せるのは女のためにも忍びなく、残り香だけとは言え他の男にくれてやる気もなかった。

「沫縁湖の若旦那ァ、残念ではあるが致し形無しとよ、事情を汲んで引いてくだすったぜ」
「へぇ。思ったよりずいぶんあっさりしてんな。どんな手品を使ったんだい」
「おめェな、あっさりと終わらねぇだろうなって思ってたことを、他人任せかい」
「頭に血が昇ったって言っただろう。後の事は後で考えりゃいいとしか、あん時ゃ思えなかったんだ。あとはお前と黒羽丸あたりが上手くやるだろうと思ってよ。そういや、三羽烏は?」
「おう、お前の言う通り、俺と黒羽丸がしっかり相談して、上手く取り計らうことにしたよ。ついてはお前と口裏を合わせにゃなんねぇ」
「なんだい、口裏って」

 義兄弟は懐に突っ込んだ手で、がりがりと脇腹を掻きながら、視線だけは油断無くちらちらと左右を睨みつけ、それまでのどこか冷やかすような声を抑えた。

「沫縁湖の主と若旦那は、直接傘下におさまる手下どもの数だけなら、奴良組よりも大きな派閥だ。そっぽをむかれちゃたまんねぇだろ。それも、今回は三代目の方から縁談ぶっつぶしにきたわけだし、それをただ、三代目のやんちゃですで終わらせられはしねぇ。そこで俺と黒羽丸は考えた」
「……何を」
「この話、三代目を軽んじて裏から奴良組の糸を引こうとする奴が、是非も問わず事前の申し上げもないまま、誰よりも三代目の御身を案じる側近頭が邪魔であるために嫁にやってしまおうという魂胆を持ったがゆえだと、そういう事にした」
「…………そういうことにしたって、おめぇ、それじゃあまるでカラス天狗が悪者じゃねぇか」

 いくらなんでもそりゃあ可哀相だろう、と笑ってお済ませになろうとされた三代目とは裏腹、かえって義兄弟分は気を悪くしたらしく、今度は短い頭髪をかきむしって、ぎらりと鋭い眼光を見せたのである。

「あのな。おめーがそうやってへらへら笑って許してやってるから、俺達も、おめーの爺やのカラス天狗殿に一目置くし、致し方なしとして諦めてるって部分もあるがよ、本来おめーが無用だと言えば縁談など無理を通してさせるもんでもなし。おめーがこれは俺の女だと言ってるその女に無理に縁談を強いるようなこたぁ、おめぇを軽んじる以外の何でもねえんじゃねーのかい」
「いや、あいつはほら、あの通りのお節介だからよ。仕方ねぇだろ」
「それよ。おめぇの甘さの上に、カラス天狗は胡坐をかいてるわけだ」
「そうかねぇ」

 わからぬといった思案顔の三代目、首を傾げるところなど、まだまだ子供の癖が抜けておられぬ。
 この御方をやや子の頃から見てきたカラス天狗が、元服前であった頃はまだ元服前なのだからと、元服が済んだ今も尚、まだ元服を済ませたばかりなのだからと、過保護に付きまとうのも致し方ないところではある。
 けれども薬鴆堂の堂主にとっては、三代目が京都抗争に身を投じ、成長なさるを目の当たりにした義兄弟にとっては、元服したてとは言えいまや三代目は立派な男子一人であり、女一人を名指しで抱き寄せたいならば、もはや立派な恋であり情であろうと、背を押してやりたいところだ。三代目の真剣なる恋情を、ほんの小さな頃からの戯れと片付けるカラス天狗の方にこそ、早計にもほどがあると叱ってやりたかったのだが、鴆一派を預かりながらも短命な身では、幹部の名を連ねていてもまともに意見を受け取ってもらえることもなく、これまで歯痒い想いをしていたのである。

 しかし今や、風向きは変わった。
 三代目は週末ごとの駆落ちごっこを、己の縁談を払いのけるためだけの画策とだけ考えていたかもしれないが、乗り込まれた先、幹部の屋敷に住んでいるのは、その幹部だけではないのだ。
 奴良屋敷に多くの妖たちが住んでいるように、幹部各々の屋敷には、奥勤めの女中や賄い処の小物たちなども住んでいて、こやつらが屋敷の主にひたすら平伏だけしているかと言うと違って、時には下から物を申し上げることもある、中々の発言力を持つ手合いでもある。

「お前に持ってこられた縁談の雨あられ、お前が幹部連中のところへ潜り込んで画策してる間、お前は雪女を連れていったよな」
「ああ」
「それが良かった」
「んあ?」
「おめぇが幹部どもとサシで呑んでる間、雪女は雪女で、賄い処の仕事や奥女中の手伝いなんかをしていらしいな」
「ああ……そういうの、好きな奴だから。迷惑にならない程度に好きにさせてやってくれって、頼んでおいたが」
「それもまた良かった」
「ん?」
「近々三代目の奥方になられる御方は、しっかり奥の仕事がおできになる方だ、料理の腕もたしかで機転もきき、女だてらに胆も強い。殿方の前では楚々とした振る舞いを忘れないところには、女として嫉妬すら覚えると、幹部連中の屋敷の奥女中筆頭が、ことごとく誉め千切ってるそうだ」
「ああ……まぁ、炊事洗濯掃除は大好きな奴だしなぁ」
「あの一ツ目入道なぞ、それでも『守役が側近頭からさらに奥方になるなど。せいぜい子守唄で寝かせつけるぐらいしかできぬだろうが』とかぶつくさ言ってたらしいがよ」
「まあ、そうだろうなあ」
「奥女中筆頭に『一ツ目入道さまだって、茄子田楽をしきりに誉めていらしたじゃないですか、この百年、お出しした料理に美味いのどうのと仰せになったことなど無いのに』とぴしゃりやられて、黙っちまったらしい」
「へぇ、一ツ目がねぇ。そりゃすげぇ」
「幹部連中とて、自分の屋敷の奥女中筆頭の意見を完全に無視するわけにはいかねぇ。いかな武闘派だって、腹が減っては戦はできぬ。それに手前等が出払ってる間、屋敷の守りをしっかり担ってるのは、他ならぬ女どもだしなぁ。というわけで、おめぇの側近頭は幹部連中の奥女中どもを、ことごとく掌握しちまった。男を一人二人篭絡したなら雪女の《畏》がどうのと言い訳もたつだろうが、女の目から言われるんだから、幹部どもは尚更無視できなくなった」
「ふんふん」
「内心面白くねぇと思ってる奴もあるだろうが、表向き、幹部連中は皆、三代目の側近頭がゆくゆく奴良組の姐御におさまることを、歓迎する姿勢だ」
「そりゃあ、良いことじゃねぇか」

 三代目を継ぐより前、若頭の盃を授かったときに中々己を認めたがらぬ手合いがあったことを考えれば、三代目を認めたとしても、その側近頭まではまだ認めていないなどと、文句を垂れる輩が無いとは思えなかった。
 いずれは側近頭の方も認めさせなくてはと考えていたところだったので、奴良組三代目としても、一人の男としても、己の女の働きが既に認められているとなれば誇らしい。
 義兄弟が何度か繰り返した言葉を、三代目もまた口にしたところで、その義兄弟はにやりと悪党の笑みを浮かべた。

「おうよ、良いことだ。おかげで、カラス天狗が三代目の静止も聞かずにこの側近頭を、無理矢理他の野郎と縁組させようとしたところ、ついに三代目がお怒りになってカラス天狗をこらしめようとなさってるって話、三羽烏が浮世絵町中のカラスを使って吹聴させたてみたならば、幹部連中の全員が三代目に恭順の意を見せた。
 目に見えるようだよなぁ、悲恋の雪女に同情した奥女中どもがよ、普段すかした顔で奴良屋敷の大座敷に並ぶ野郎どもの金玉をしっかり握って、そうしなさいませ、と詰め寄った姿がよう。くけけけけ、ざまぁミロだ」
「ははあ、それで、口裏合わせろってか」
「おお、そういう事にしといてくれや。おめーが幹部連中のところに雪女を連れて行って、賄い処の仕事をさせてたのも、この女がいずれは立派に奴良組の奥を取り仕切るからよろしくと、そういう意味で連れて行ったって事にしておいた。沫縁湖の若旦那はすっかり納得して、引いてくださったぜ」

 ほうと、三代目は感心の溜息をつき、幼い頃には兄貴分として無邪気に遊んだ相手をしげしげと見つめて、

「鴆君はすげぇなあ。毒以外の方法でも、きっちり相手を殺す方法知ってらぁ」

 幼い頃とは違う言葉で、幼い頃と同じく手放しで、誉めてつかわすのである。
 これが嬉しくないはずもなく、義兄弟はまあなと胸を張った。

「魑魅魍魎の主さまお抱えの医者なんだ、治らねぇ病なら上手い付き合い方を考えればいいだけのことよ」





 その後。

 息子たちに見放されたカラス天狗が、疲労困憊して奴良屋敷の縁側に腰掛け茶を啜っていたところへ、他ならぬその息子たちに覚えの無い罪状を突きつけられた挙句にお縄につけとふん縛られ、蓑虫のように縄でぐるぐるまきにされた上枝垂れ桜の枝先にぶらんと吊り下げられながらぎゃあぎゃあと囀る父を前に、末妹が複雑な表情をしていると、長兄が大真面目な顔で彼女の獲物である鞭をほれと渡して「存分にやれ」と言ったので、このやり取りを目にした初代が大笑いされた、だとか。
 カラス天狗謀反の報せを本気にした牛鬼が、捩目山から遥々奴良屋敷を訪れ、息子たち(主に長兄)の手によって半死半生の目に合い床に伏していたカラス天狗のもとへ足音荒く近づいて、見舞いとは痛み入るなどと弱々しい声を出したカラス天狗を布団から引っ張り出し、見舞いどころか刀をつきつけあわや刃傷沙汰となりそうであった、とか。
 夜のうちは自分の女を懐に戻したことで気分を良くしていた三代目が、夜明け前に奴良屋敷へ戻るや、そそくさと夜姿のままで蔵の中へ入って行き、どうした事だと小物連中が追っかけてみると、夜が明け昼姿になられた若君が蔵の隅っこで膝を抱えて、ひたすら己の所業に、やりすぎだよ夜のボクってどうしていつもこうなのさだいたい打つ必要なんてよく考えれば全然無いじゃないいやそりゃ少しショックだったけどでもそれだって雰囲気に流されちゃったとかあるだろうし嫉妬なんて醜いにもほどがあるって言うかだいたい雰囲気に流されたどころかあてられてあんなことまでしちゃっていやつらら可愛かったけどそれだってなんていうかもうちょっとやりようがあったっていうかいやここ年齢制限無だって言ってんのに氷苺ってなんだと思ってんのもう恥ずかしいったらありゃしないけど絶対絶対謝ったりしないんだからね後悔してないもん氷苺大好きだもん美味しかったもんと、久方ぶりに己の夜姿の所業を認めたがらぬ様子であったので、納豆小僧が大人の判断で、ここはそっとしておいてやろうと他の小物連中をたしなめた、だとか。

 様々なところで事の始末はあったけれど、とにかく、病と名のつくものならば、今代の薬鴆堂堂主は見事にいなしてみせるらしいぞ、類まれなる名医であるなどと、ちょっとばかり三代目への揶揄も含めて関東の妖怪どもが噂し始めたのはこの頃からである。
 堂主と三羽烏の企みはこの上なく上手く行き、三代目と側近頭の間にそれでも割って入ろうなどと言う者は、奴良組傘下に表立ってはなくなった。

 それでも、またいつ余計な世話を焼きたがる者が、己の雪兎に要らぬことを吹き込むやわからぬ。
 何より、側近頭であるのに大した力も無いと勝手に思い込んでいる彼女自身が、また要らぬことを考えて何をやらかすことやら、甚だ不安でもある。

 そこで、蔵の中でひとしきり自己嫌悪に陥った挙句にどうにか男として立ち直った若君は、そうかつららにも百鬼を持たせれば良いのだ、と思い至った。
 側近頭であるからには、己に直属の幹部格であることだし、手下は大勢在って良いはずだ。
 己が大幹部衆のもとを練り歩いたのが地盤固めに繋がったように、側近たちにシマを持たせ、己の声が直接伝わるようにすれば、これもまた組の強化に繋がることだし、雪女の自信にも繋がることであろう、と。

 彼女に任せるにどこか良いシマはないか、やっと床から起き上がることができるようになったカラス天狗に相談してみたところ、若君の知らぬところでなにやら途方もない反省をしていたらしいカラス天狗は、小さな目の玉にみるみるうちに涙を浮かべ、この老いぼれカラスを尚も用いて下さるとは、とその場でまず小一時間ほど泣き伏した。
 何が起こったかわからず慌てながら慰める若君の、いまだお優しい手に撫でられながら、錦鯉地区という、雪女にとっては縁深い土地があり、そこの男衆ならば仁義に厚い者たちばかりですから、雪女の身にも心配はありますまいと知るところを詳しく述べたカラス天狗に礼を言い、若君は三羽烏を連れ、さっそくその土地に赴き、顔は怖いが仕事はきっちりの男衆どもならば、きっと雪女を姐御として認めもするだろうとお思いになった。

 少し苦労をするかもしれないが、自分の力で強面の男衆を手懐けられたなら、自信にも繋がるであろう、と。

 昼姿での思案は正しかったことを、後日、とある師走の夜に、三代目はお確かめになった。
 少女のようにはしゃぎながら、ついに錦鯉地区の荒鷲一家に認められたと報告する雪女は、ずずいと大正浪漫硝子に乗ったかき氷を三代目につきつけ、外は猛吹雪であるというのに男君がそれを喰うのを疑いもしていないらしい。
 先日、秋の日に、自分の力だけでは側近頭として認めてもらえぬなどと、弱音を吐いていた彼女とは大違いである。
 ついつい、

「冬は絶好調だなぁ、つらら」

 皮肉も出たが、全く動ぜず、はいと可愛らしい返事があった。

 あの縁談において、己以外の男に何故気を許したかと三代目が尋ねたところ、雪女は臆面もなく「リクオさまの事を話していたら、しっかり聞いてくださったので。リクオさまのことを前から気にかけてくださっていたとも聞きました!だからです!」と答えた。
 男を選ぶときの基準に、しっかり己が入っていたと知らされると、三代目はそこで、あの日彼女の頬を打ったことをひどく悔やまれ、詫びのつもりで頬を撫でた。そこへ彼女が頬を摺り寄せてきたときにも思ったものだ、この雪兎、まことけしからぬ愛らしさだと。
 結局、話ならばすべて己が聞くと言い聞かせたがため、それ以降、雪女はその日に見たこと聞いたことを、彼女の視線で思ったことを交えて夜毎囀るようになった。

 今日にいたっては憂いを忘れ去ってしまったような、己以外の男のもとへ嫁ごうとした過去など無かったような、実にさっぱりした顔であったので、少し小憎らしい。自分で画策したとは言え、シマの地回りなどで忙しくしている雪女に、学校でも屋敷でも、すっかり置いてきぼりをくらっている身分としては、面白くも無い。
 ちゃんと己を男として見ているかと、確かめたい気にもなり、氷苺をしゃくしゃくやりながら、三代目はふと、こう仰せになられた。

「なぁつらら、今度の週末も忙しいのか」
「そうですねぇ、師走は書き入れ時らしいです!」
「ふぅん、じゃ、オレとのんびり遠出ってわけにもいかねぇか」
「お気持ちは嬉しいですが、これも奴良組のため、ひいてはリクオさまのためですから!」

 答えは予想していたものだったが、案外こたえた。
 仕方ないことだが、いつまでも守役面をして己を宥めようとする女相手に駄々も捏ねたくなり、

「そうか。忙しいか。んじゃ、今度の週末は駆落ちするしかねーな」

 困らせてやるつもりで、さらに仰せになった。
 何を仰せですか、と、困ったような顔か宥めるような顔かで言い返してくるだろうとばかり思っていたが。

「 ――― はい。リクオさまが仰せなら、参ります」
「……うん」
「どこに駆落ちいたしましょうか?」
「……あー……まだ決めてない」
「それじゃあ、つららは遊園地なるところへ行ってみたいです、リクオさま!」
「……じゃ、昼間に行かなくちゃな。さすがに夜姿ではまずいだろ」
「ふふふっ、楽しみにしておりますね。嬉しいです」

 恥じ入ったように頬を染めて、僅かに微笑み、そんな事を言う。
 守子への顔ではない、男への恋慕がたしかに見られた。

「つらら」
「はい?」
「お前その顔、反則だ」

 流石にあわてふためいた雪女の声が絡め取られ、言葉にならずに濡れたそれにとって代わり、その後すぐに新参の付喪神たちのどよめきが、三代目の御部屋に溢れたのであった。


<了>











...ねぇ週末なんだけど駆落ちしない?...
「おーい奴良ぁー、明日なんだけどさーぁ」
「あ、ごめん、ボク明日はちょっとつららと駆落ちする用事があって」
「駆落ちッ?!」
「じゃ、島君、明日の準備があるからボク帰るね。放課後の日直の仕事、よろしく!」
「……お、及川さぁん……!」