人は、かくも、おぞましきもの、おそろしきものを心の内に飼っているのかと、雪女は声も無い。

 彼女の前では、昼のお天道様の下ではあんなに怜悧に、美しく見えた少年なのに、眠っている間に枕返しをして、魂に直接「お兄さんはこれから何をするつもりだったの」と若君が尋ねられると、なんとも醜い心根を晒したのである。
 眠っている間の魂は、よほど訓練を積んだ者でない限り、無防備だ。
 若君や雪女が見ている前で、彼の魂魄は、彼がこれからしようとしていることを、忠実に夢の中でなぞった。

 少年の魂は、夜歩きを始めた。すうっと魂が体を抜け出て、夜道をうろうろとし始めるのを、大蛇の蛇に腰を下した二人が、何を始めるのやらと見張っていたところ、夜遅くの家路を急ぐひとの、後ろをすうっと付回し始めたのだ。
 迷った魂が、行く先を求めて人についていくのはよくあることだったので、それではないかと雪女は思ったが、若君の真似をして、両手の指で窓をつくりその間から魂を見てみると、やや透き通った姿の少年が、昼間とはまるで違う、血走った眼をして、興奮気味に人をつけまわしていたのである。
 人が背後を気にする様子をみせれば、ぱっと隠れる様には慣れが見え、とてもここ数日で身に着けたようには見えない。

 陽炎町内を一周すると、少年は魂だけになっていることも知らず、体が眠っているベットの上で、しばらくふわふわとやっていたが、今度はおもむろに隣の部屋へ行くと、閉じ込められている犬や猫を乱暴に打つ夢に、魂の色を変えるほど興奮していた。
 疑う余地は無い、この少年の昼の姿は擬態だったのだ。
 
 ここでようやく雪女は、今は若君の懐で優しく撫でられ満足げな、黒猫の眼が、誰のせいで見えなくなったか合点がいった。しかしこれを何としたものか、魂だけになっている今を狙って、さっさと氷付けにしてしまえばいいか ――― そう結論づけた。

「若、あんな奴、さっさと氷の柱にしてやりましょう」
「過激だなぁ。そんなことをしたら、妖怪がここにいましたよって、言ってるようなもんじゃないか。お前にもマスコミ査定、入れちゃうよ」
「でも、《妖怪ひたひた》の元凶だってコイツじゃないですか!コイツがいなくなれば噂も消えますし、犬猫が殺されることもなくなります。放っておいたら、コイツ、また人を付回したり、犬や猫を打ったりし続けるに決まってます!」
「それだけじゃない。この次は、きっと付回した人を、あの犬や猫のように、傷つけてみたくなるだろうね。次は、犬や猫をそうしてしまったように、殺めてしまうまで傷つけてしまうかもしれない。実際、はずみとは言え、あのお婆さんは手にかけてしまったんだし」
「だったら」
「けど、雪女、お前があのお兄さんを氷付けにしたら、それも《妖怪ひたひた》の仕業になって、いよいよ妖怪はいる!ってことになると思うなぁ」
「そんな悠長なこと、言っていられますか!若が止めても、私は ――― 」
「雪女、やめときな」
「どうしてです、若」
「妖怪が人に仇なすのは、どんな理由があっても許さない。お前といえど、オレは斬らなくちゃならなくなる」
「 ――― そんな」
「妖怪のことは妖怪の領分。そして、人間のことは人間の領分。人が妖怪の領域を犯そうとするなら、それは、ボクの領分だ。と言っても、皆の力は借りるんだけどね、そこは大目に見てよ」

 一体、昼の御姿で、何ができるというのか。
 言葉を聞いただけなら、一ツ目入道あたりがせせら笑ったに違いない。
 しかし、雪女はどこか ――― 雪と氷でできた彼女がそう感じるのもおかしな話だが ――― 薄ら寒くなって、いつものように笑う若君が、次にしかける『悪戯』を、このまま見ていたくないような、知りたくないような、それでいて目が離せないような気になるのだった。

 若君は、連れてこられた悪戯仲間たちの力を使い、巧妙に、少年の魂を、うっすらと妖気漂う、あの陽炎神社へ連れ出した。
 そこで見せられた映像ときたら、魂と映し身が織り成す虚像だとわかってはいても、雪女にとっては目を覆いたくなるようなものだった。若君の魂の欠片が人魂に導かれて、少年の夢の世界へ入ったが、これを少年がむんずと捕まえ、石段から放り投げたときなど、袖で目を覆ったほどだ。
 すぐ隣に若君がおわすとわかってはいるのだが、情を注いでお育てした若君が、ままごととは言え殺されるところなど、見て気持ちの良い想いをするわけがない。

 だから、その少年が、逆さ鏡の呪いにあって、猫よりも小さな虫けらになり、猫の恨みを一身に受けて、ぐへえ、ぐぎゃあ、と悲鳴を上げ始めたそのときは、良い気味だと思ったのだが、これが半時も続くと、じいっとこれに見入る若君と、その様子が、少しずつ、怖ろしくなってくる。
 一思いに凍らせるのでも、一思いに殺すのでもない、いたぶり、なぶり、そしてそれに、若君は真剣な眼差しを向けておいでだ。自ら、これから目を逸らしてはならぬと、お決めであるのだろう。見ているだけで心が雪解けを向かえる、あのお優しい笑みは今はなく、目の前で繰り広げられる一方的ないたぶりを、いっそ潔癖なほどに、我が罪、我が咎として、一身にお受けになっている。
 そのようなあさましく愚かな人間など、おかまいになる必要もあるまいに。
 弱きものへのいたぶりなど、若君が一番に厭うておられることだろうに。
 同じ罪を、わざわざ犯してやる必要も、あるまいに。

 雪女はなんだか怖くなってきて、そっと、若君の着物の袖を、掴んだ。
 お育てしてきた若君が、いつの間にやら腕の中におさまらず、すっくと立ち上がって隣に並んでいたことを、初めて知らされたような心もちであった。この方は、本当に、あの可愛い可愛い、私の若君なのだろうかと、おそろしくなった。かける言葉も、見つからなかった。
 ご自分の隣で、僅か一瞬、身をかたくした彼女の心を、おそらく、若君は、正しく読まれた。


「どうしたの、つらら」
「ボクが、こわいのかい」
「 ―――  じゃあ、目をつぶっておいで」


 いつの間にか、守役の腕から抜け出ていたのを、見つかってしまったかと、顔を背けるわけでもなく、安心させるように微笑まれて、若君はそっと手の平で、雪女の目を覆われる。
 微笑まれた拍子に、魂の緒を伝って、少年の夢に入り込んだ若君の魂にも揺らぎが生じたらしい、現実と幽玄の境目では、気まぐれをよそおってではあれど、痛めつけられていた少年に、ようやく許しの沙汰が降りたところだった。



+++



 奴良組屋敷への帰り道、月を横切る黒い影。
 若君と雪女を乗せた大蛇も、いつになく機嫌が良さそうに身をうねらせ、またこれの背にしがみついた小物妖怪たちや、ふわふわと周囲を漂う鬼火や人魂も、若君となした久方ぶりの悪戯に、興奮冷めやらぬ心もちで、自らの活躍どころを反芻しあっては、いやいやおれの方が活躍したなどと、背伸びし合ってかしましい。

 小物たちのはしゃぐ様を若君の隣に見つめ、雪女は、自分もまた、ああしてただはしゃいでいられたなら、どんなに良かったであろうと、胸中に生まれた言い知れぬおそれをどうともできず、臆したかのように黙っていた。
 この中にあって、若君はやはり穏やかに微笑んでおられるが、どこか一歩引いたところから、小物たちの騒ぎを見守っているようにも思われ、雪女は、目をつぶっておいでと言い渡されたそのときから、言わねば言わねばと胸の内に抱えていたことを、つ、と若君の袖の端を掴んだままに申し上げる。

「 ――― 私、若がこわくなど、ありませんから」
「そう?」
「そうですとも!こわいはずがありません。リクオ様は、お優しくお強く可愛らしい、私の終生の主でございます。ただこわいからついていこうと決めたのではありません、リクオ様が、人にも妖にも分け隔てなく接してくださる方だからこそ、ついていこうと決めたのです。
 こわいから、おそろしいから、ついていこうとしているのではありませんもの。リクオ様がリクオ様だから、あなた様があなた様であらせられる限り、私は、御側でお守りいたします」
「嬉しいよ、雪女。けど、無理はしなくていいんだ」

 これでは、逆に今の貴方様がおそろしゅうてならないと、認めたようなものにしか聞こえず、雪女は己の言葉の足りなさに辟易としながら、違うのです、違うのです、と慌てふためくが、この様子すら、若君は愛でるように慈しむように、微笑みさえ浮かべて眺めておられる。
 何から言葉にしてよいものか、迷った末に口から出てきたのは、ありきたりな問い口だった。

「若は、最初からご存知でいらしたのですか?昼に会ったときから、あの男が下手人だと?」

 まさか、と若君は仰せになった。

「ボクだって、人の心が読めるわけじゃない。でも、この人は嘘をついているな、怪しいな、って、それくらいはわかったよ。
 《妖怪ひたひた》なんて奴には会ったことがないけど、夜の散歩中に、背中にべったりと例の奇妙なものをくっつけて、こそこそしてた奴は、何人か見かけたことがあった。うん、闇夜になると人の中にも、ざわめく輩が増えるらしい。その一人がどうも、あのお兄さんに似ていたような気がしたので、もしやとは思った。夜と昼とで人相が違ったけど、ボクだってひとのこと、言えやしないからね。
 確信に近くなったのは、この猫が、あのお兄さんの手だけをやけに嫌がった、そのときだ。
 娘さんの手は、別に嫌がってなかったのに」
「それだけで?」
「あとは、この書きかけの絵馬。陽炎神社の、石段の脇で見つけたんだ。カフェの店長さんの話。そして、この黒猫の、潰されてしまった両眼。最初は点でしかなかったけど、ぽつりぽつり、それはおかしいな、と思うところがあった」

 それほど、この黒猫は人嫌いではない。手当てをしようとする若君の手を、あれほど引っ掻き爪をたてたのは、前後もわからないでいるところへ、追っ手がかかったと思ってのことだったのだろう、落ち着いた後はすぐに若君の手を受け入れ、傷つけてしまったところを詫びるように、ざりざりと舐めていたほどだ。
 あまり老婆と仲がよくなかったか、疎遠だったと思われる、娘の手すら嫌がらずむしろ、なおんと甘えた声を出していたのに、あの少年には猛々しく、叫び声を上げていた。

 カフェの店長が言うところでは、あの老婆が嫌われていたのは、意地悪だとか悪行をするだとかそういうものではなくて、むしろその逆であったらしい。人の意地悪や悪行を、どこで知ったと思うように正確に把握していて、だからおそれられていたのだそうだ。
 人が、誰も知らないだろう、どうせあの人の耳には入らないだろうというようなことを、次々言い当てて見せるから、半ば気味悪がられてもいたということだ。
 例えば、仲良く子供を遊ばせていた三人の母親たちが、家に帰れば他の二人の悪口を、唾を飛ばして言い合っていた、だとか、貞淑なはずの妻が、出かけていった先、夫とは違う男たちとホテルに入っていただとか ――― と、こちらの方は、若君にあまりお聞かせしたくない内容だったので、一行の中で外見はともかく、一番の年上を自負する雪女が空咳をしたところで、店長ははたと気がつき愛想笑いでしめくくられたのだが。
 言い当てる、という物言いであったところから見て、言いふらす類ではなかったと伺い知れた。親切面して近づく輩と、結びたくも無い縁を強いられたときにだけ、ぴたりと言い当て遠ざけていたのだろう。

 あとは、若君が拾い上げた、書きかけの絵馬。
 何故そんなにしげしげと見つめられ、不思議にお思いになっているのか、雪女には理解しがたかったが、

「絵馬って、書きかけで放り投げるためにあるんじゃないでしょう?」

 と、若君に呆れられてしまったので、白いおもてを朱に染めて、生意気とは知りつつ言い返した。

「だからって、それが何の手がかりになったと言うのです」
「お婆さんの字に間違いが無いって、娘さんに言われたから、じゃあここ最近、お婆さんがこの絵馬を書いている最中に、筆を止めてまでその場を離れなけりゃならない理由ができたのかな、と思ったんだ」

 真実は闇の中にこそある。無理に光を当てて、醜く歪めてやらなくとも、この闇の中でごそごそと蠢いた挙句、一人の少年が多数の人の後をつける後ろ暗さに喜びを感じ、犬や猫を打って楽しみ、一人の老婆を殺めた、これは事実。
 もしそこに物を語る必要があったのなら、この仔の慰めのために話してみようかと、若君は猫の喉元を撫でながら、「これは事実ではないかもしれないけれど、もしも理由があったとしたなら」と語りだす。



 仮に猫婆とする。昔は、猫娘だったかもしれぬ。
 不思議な通力を持つ人間というものは、世の中にたまに生まれいずる。他ならぬ、若君のお婆様も、病や傷をたちどころに癒す、神の手に恵まれていたそうだ。
 猫婆の祖先にも、そういう者がいたのかもしれないし、あるいは系譜のどこかで、妖の血が混じっていたのかもしれない。
 ともかくこの陽炎の老婆は、犬や猫、獣の声をきくことができた。と、する。

 あの少年の家の窓から、にゃあにゃあわんわんと、犬や猫がか細い声で訴えるのを、老婆は眉を寄せて聞いていたに違いない。あそこで一体何が行われているやらと、買い物のついでに通りがかるたび、不審にもおもったことだろう。
 老婆には人が近寄らなかったが、心を通わせる一匹の賢い黒猫がいて、これが老婆の届かないところへ向かう足となり、老婆が直接のぞけない場所、悪事が行われている場所をのぞく、目となりて、見てきたことを、今こうして若君の膝の上でごろごろと喉をならしているように、甘えながら報せたに違いない。

 さて、陽炎神社は、さすがに平日の昼中に寂れてはいたが、多くの絵馬が願をかけられていた。これに、書きかけの絵馬と同じ、こなれた筆文字で記されたものも多くあった。
 猫婆は、陽炎神社の、いわば常連であったのだろう。
 この陽炎神社に、愛猫とともに詣でるのが日課だった老婆、娘のことや、周囲の他愛もないいさかいのことなどを、せめておおさめいただきますようにと、陽炎神社の祭神にお願い申し上げて、陽が落ちる間際、帰ろうとしたところで、獲物を物色する、あの少年を見かけた。

 この少年が、その夜も、まだ誰そ彼の時分から、誰彼構わず付回そうとしているのを、猫婆はやめさせようと考える。その場で警察に通報しようとは、考えなかったのだ。子供は親が叱るもの。馬鹿な子だねと叱ってやらねば、子供はどこまでが悪戯で、どこからが悪事なのか、判断がつかなくなってしまう。
 いつの間にか疎遠になってしまったけれど、もっと小さな頃は、この少年も、猫婆のもとへ通って、小さな猫を触らせてもらったりしていたし、猫が嫌がることをすれば叱られた。ここで自分が見かけたのも何かの縁、いつかのときのように叱ってやらねばと、猫婆は考えたのだ。

 絵馬に綴っていた途中の筆を止めるほど、猫婆は少年を気にかけた。少年を見かけたのでその悪事をおさえ、ひとけの無い陽炎神社の境内へ引きずって、叱ったのだ。だが、これは悪い方へ転んだ。
 誰そ彼と問う時刻、黄昏は逢魔ヶ刻、烏が宿を求めて梢を渡る、橙色の闇の中、少年は背中にくっつけた自身の魔をふくれさせて、凶行に及ぶ。書きかけの絵馬は、願をかけそこなわれて石段の脇へ。
 見ていたのは唯一の、あの黒猫であった。少年はこれを殺さず生かして捕らえ、目を潰し、閉じ込めた。

 あとは知っての通り。
 この猫は少年の元を逃れ、潰れた目をたよりにできず、手探りで浮世絵町本町へ迷い込んで、ぬらりひょんの孫、奴良組若頭、奴良リクオの懐におさまり、若君が語り終えると、「まさしくそうなのです」とでも言うように、にゃおんと鳴いた。



「なるほど。言われると、合点がゆくような気がいたします。でも、この猫は、一体どうしてあの少年の元から逃れたのでしょう?しっかりと鍵をかけられていたのでしょう?」
「まだ尻尾が一本だから、他の犬や猫を助けられるほど、器用にはなれなかったのだろうけど、母親にも等しい老婆を殺されて、必死で誰かに訴えたたかったんだろう。紛れもなく、この仔の力だ。人語を解し、鍵をあけるも自由自在では、たしかに普通の女の人に、世話は無理だろうなぁ」
「若、猫婆の娘御は、自分の母親のことを知っていたと?」
「知っていたんじゃないかな。よく似た母子だったみたいじゃない。と言っても、娘さんの方は、猫婆さまのような力は、持っていなかったのかもしれないけど。だから、無理だって言ったんじゃない?」
「……まさか」
「何なら、猫婆の家でも、のぞいてみるかい?」

 言うが早いか、今夜の余韻を楽しむかのようにゆったりと浮かんでいた大蛇は、若君の意を受けて、すいと猫婆の家へ向かう。
 ほどなく見えてきた猫婆の家では、昼に言っていた通り、娘がせっせと、箪笥の中の着物を引っ張り出してはトランクに仕舞い込んだり、棚の奥の書道具をまとめたりと、忙しそうにしている。娘の様子は昼と変わらない。良く言えば気丈、悪く言えば生意気な女である。

 ところが、忙しい中で、何か一つ道具を手に取ると、この動きが僅かに止まる。
 古びた着物、売り物にもならなさそうなものを手に取り、値踏みするように広げてみせるくせに、袖口のほつれを見つけると、なつかしそうにそっと手にとって撫でている。襟のところに当てた継ぎに、染みを見つけると、背負われた記憶が呼び起こされるのか、そっと鼻先をあてている。
 振り切るように着物をたたんで、ようやくトランクに仕舞ったと思ったら、今度は探り出した書道具の、綺麗な文鎮を手にして、少し微笑む。

 しまいに、くしゃり、と表情が歪んで、涙を払って、次々と荷物を仕舞いこんでいる。他人の目からすれば、それはこの場で捨てていってもよいのではないかと思うようなものまで、次々、トランクに放り込む。
 まるで、思い出ごと連れ帰ろうとしているかのように。

「猫気性とは、よく言ったものだよね」

 母の不幸で帰省した、この女はやがてこの町を去り、再び生意気そうな面差しで、都会の街を風に向かって歩むのだろう。
 若君は懐から例の絵馬を取り出すと、女がせっせと荷造りに励む部屋の窓辺にそっと置いた。


 ――― 失敗をしたという娘ですが、悪さをしたわけではないようです。これから行く先でも、どうか心正しい道を歩み、体を壊さず、元気で……


 続く願いは、今後、決して綴られることはない。